トークンモデルの分類

全体像をつかむ

トークンモデルの分類

更新日 2020/02/04

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目次
  1. 1. 通貨とコモディティ
  2. 2.  (1)SoVトークン
  3. 3.  (2)ステーブルコイン
  4. 4.  (3)ペイメントトークン
  5. 5. ユーティリティトークン
  6. 6.  (1)ガバナンストークン
  7. 7.  (2)ディスカウントトークン
  8. 8.  (3)ワークトークン
  9. 9.  (4)バーン&ミント均衡トークン
  10. 10. セキュリティトークン

トークンモデルとは、ビジネスモデルのようなもので、プロジェクト内でのトークンの流れを表したものです。海外のメディアでは、単にビジネスモデルと表現されることもあります。

トークンモデルの型を把握することで、特定のプロジェクトを見たときに、どれに当てはまり、類似のものは何かを比較できるようになるため、理解が早くなります。

トークンモデルの分類については諸説あるのですが、この記事ではロンドンのクリプトファンドFabric Venturesの記事、“The Fabric Ventures Investment Thesis”の中の"Types of Tokens"の項目を参考にしています。
この分類の仕方が、最も全体像がつかみやすいように感じました。

目次を見て、初めて聞く単語の箇所だけでも是非読んで頂きたいです。

トークンは大きく
 ①通貨とコモディティ
 ②ユーティリティトークン
 ③セキュリティトークン
の3つに分類することができます。

トークンの分類について

通貨とコモディティ

通貨とコモディティ SoVトークン、Stablecoin、ペイメントトークン

 (1)SoVトークン

SoVとは、Store of Value の略で、通貨の条件のうちの1つである価値貯蔵手段を意味します。

SoVトークンとは、改ざん不可能で、完全に独立したアセットとして価値保存できるトークンのことです。
具体的には、Bitcoin、Monero、Zcashなどです。
これらは、匿名性とスケーラビリティに違いがあります。
通貨価値の算出にはフィッシャーの交換方程式(MV=PQ)が用いられます。

 (2)ステーブルコイン

ステーブルコインとは、USDやETHなど他の通貨を価値の担保としてボラティリティをなくしたものです。
FacebookのLibraもステーブルコインとして機能します。
通貨の3条件のうちの価値の尺度交換手段として使われます。
ステーブルコインは、次の3つに分類できます。

・法定通貨担保型 – 同額の法定通貨を担保として管理主体が保有するもの(例:Tehter)
・暗号通貨担保型 – ETHなどの暗号通貨を担保とするもの(例:MakerDao)
・シニョレッジシェア型 – 通貨の供給量をアルゴリズムでコントロールして価格を安定させる中央銀行をつくるもの(例:Basis、Carbon
Basisのプロジェクトはすでに解散しています。

 (3)ペイメントトークン

ペイメントトークンは、支払い手段として用いられるトークンです。SoVのような流動性や安定性がなく、ネットワーク経済圏の中での通貨として機能します。

しかし、ユーザーにとってはペイメントトークンへ交換することが手間となるため、BTC、ETH、DAIなどの他の通貨での支払いを可能にする方が便利です。そのため、将来的には他の通貨に代替されると言われています。
2017年のICOバブル期に誕生し、2018〜2019年の間に消えていったものの多くはこのペイメントトークンとしての機能しかなかったものです。

ユーティリティトークン

ユーティリティトークンの分類 ガバナンストークン、ディスカウントトークン

 (1)ガバナンストークン

ガバナンストークンは、ネットワーク運用や開発についての方針をホルダーによる投票で決定するトークンです。
トランザクション数や利用する企業数が増加することでネットワーク価値が上がれば、投票によって開発へ影響を与えられることは希少なリソースになります。
ネットワークの投票権の価格は、保証するネットワーク価値によって指数関数的に上がります。
ガバナンストークンのモデルは通常、他のトークンモデルと組み合わせて使われます。

 (2)ディスカウントトークン

ディスカウントトークンは、ホルダーにプロジェクトが提供する資産を割引購入する権利を与えます。
ディスカウントトークンの購入は、協同組合と同じように、ネットワークのすべての経済活動において割引する権利が得られます。
ネットワークが拡大するにつれて、ホルダーの割引率は大きくなります。
この仕組みは、ネットワーク効果によって、ロイヤリティフィーを モデリングしたものです。
例としては、BNBトークンによる取引手数料の割引などがあげられます。

ユーティリティトークンの分類 ワークトークン、バーン&ミント均衡トークン

 (3)ワークトークン

ワークトークンは、ネットワーク内のサービス提供者とユーザーのバランスを調整するトークンです。

サービス提供者(作業者)になるためには、最初に一定量のトークンをステーキングしなければなりません。
作業者はステークすることで、マイニングやストレージの提供(Filecoin)、ノードの提供(Keep Network)などの収益性の高い仕事をする権利を得られます。
仕事が正しく完了すると作業者はユーザーから報酬を受け取り、ステーキングしたトークンは返還されます。
仕事が不十分だと、ステーキングした料金は没収されます。
これにより、質の低い仕事や悪意のあるユーザーを防いでいます。

サービスの利用が増えるほど、仕事の収益性は増し、サービス提供者の増加につながります。
その結果、ワークトークンの需要が増加し、供給量が固定されているため、ネットワークの利用とともにトークン価格が上昇します。

予測市場のプロジェクトAugurを例にとって見てみましょう。
Augur内のプレイヤーには、マーケットクリエイター、レポーター、トレーダーがいます。
そのうち、マーケットクリエイターとレポーターが作業者です。

1.マーケットクリエイターがETH、レポーターがREPをステーキングする
2.マーケットクリエイターは賭けの市場作成、レポーターは結果報告の作業をする
3.トレーダーは、取引時に作業者の報酬のための決済手数料を払う
4.マーケットクリエイターは 取引手数料を、レポーターはレポーティング量を報酬として受け取る

各々の仕事が完了すれば、最初にステーキングしたトークンは返還されます。
仕事がうまくいかないと、ステーキングした料金は没収されます。
これにより、間違った仕事をする可能性を防ぎ、質を担保しています。

 (4)バーン&ミント均衡トークン

バーン&ミント均衡トークンモデルは、2種類のトークンを用います。
一つはネイティブトークンで、ユーザーがサービスを利用すると支払いの代わりにトークンがバーンされます。
もう一つは、USD建てのトークンで、ネイティブトークンのバーンと同時に発行され、サービス提供者が受け取ります。
ネイティブトークンは、毎月一定量、新規発行されます。
ネットワーク利用量が増え、発行数よりバーンするトークンの数が多くなったとき、トークンの総供給量が減り、トークンの価格は上昇します。

バーン&ミント均衡トークン Factomの事例

具体例として、Factomを見てみましょう。
Factomには、ネイティブトークンのFactoid(FCT)とドルペッグのEntry Credit(EC)の2種類のトークンがあります。
ECは1EC=0.001ドルで固定されています。

ユーザーが1$相当のプロトコル利用(Factomの場合はデータ入力)をしたい場合、利用料としてFCTはバーンされ、ユーザーは1$相当のEC(1000EC)を受け取ります。
ECは譲渡できず、FCTに戻すことはできません。

また、Factomのプラットフォームにより、毎月73,000 FCTが発行(ミント)されます。
均衡を保つためには、73,000 FCT相当をユーザーが使用する必要があります。
ユーザーがそれ以上増えると、FCTの価格は上がります。
ネットワークの拡大がトークン価格に比例する仕組みになっています。

セキュリティトークン

セキュリティトークンは、資産をトークン化して表現したもので、株やコモディティ、芸術品やバーチャルな土地などがあります。
前者は、原資産の価値によって保証され、流動性、分割可能性、アクセシビリティによるプレミアがあります。
後者は、クリエイターの名声やデジタルな立地などを加味した、資産の需要を表しています。


参考URL
・“The Fabric Ventures Investment Thesis”の項目"Types of Tokens"
https://medium.com/fabric-ventures/the-fabric-ventures-investment-thesis-6cd08684b467
本記事の翻訳にあたって、許可をいただいたMax Mersch氏とFabric Venturesに感謝致します。
・Augurの仕組みの詳細(英語公式)
https://augur.guide

・Factomの仕組みの詳細
(英語公式)
https://factomize.com/the-genius-of-the-factom-two-token-system/